本ワークショップでは、数回のセッションで、戦略マップ、および、バランススコアカード(BSC)を設計します。
ワークショップの内容は次のようになります。

  1. 戦略マップについて理解する
  2. 戦略マップを設計する
  3. BSCを設計する
  4. KPIを構造化する
  5. SoIを設計する

戦略マップについて理解する

戦略マップは、企業価値を創出するロードマップ(道筋)を示します。
下図は、戦略マップを簡略した図です。




本図は、学習と成長の視点における人的資本・情報資本・組織資本といった無形資産が、内部プロセスの視点である価値創出活動(バリューチェーン)を実行することにより、顧客価値を提供し、収益の拡大や生産性の向上を通じて企業価値を最大化する因果関係を示しています。
そして、企業価値は再び無形資産への投資として還元され、学習と成長が促進されることで、さらなる価値創出へとつながります。
内部プロセスと財務の関係をみると、価値を届ける活動(Operation)の効率化は「生産性の向上」に直結し、一方で価値を創る活動(Creation)や価値を伝える活動(Communication)は製品価値や顧客価値の向上を通じて「収益の増大」に結びつきます。

戦略マップを描くことで、アプリケーション、データ、IT基盤という情報資本がどのように企業価値を上げるのか、その道筋を明確にすることができます。
なぜ、システムを開発するのか、なぜ、データマネジメントを導入するのか、戦略マップを描くことで、その戦略的な意義が明確になるのです。

戦略マップを設計する

次の順で戦略マップを設計します。

  1. 財務の視点の財務目標を設定する
  2. 顧客の視点の目標を設定する
    顧客の視点の目標は、顧客価値製品価値に分けることができます。
  3. 内部プロセスの視点の戦略目標を設定する
  4. 学習と成長の視点の目標を設定する
    学習と成長の視点の目標は、人的資本目標、情報資本目標、組織資本目標に分けることができます。

戦略マップの内部プロセスと財務の関係をみると、価値を届ける活動(Operation)の効率化は「生産性の向上」に直結し、一方で価値を創る活動(Creation)や価値を伝える活動(Communication)は製品価値や顧客価値の向上を通じて「収益の増大」に結びつきます
さて、価値を創る活動(Creation)、価値を届ける活動(Operation)、価値を伝える活動(Communication)と付加価値の関係を図にすると次のようなスマイルカーブになります。

購買・生産・販売といった価値を届ける活動(Operation)に比べて、研究開発や製品開発といった価値を創る活動(Creation)や、マーケティングや顧客関係管理といった価値を伝える活動(Communication)は、相対的に高い付加価値を生み出すと考えられます。
上述したように、価値を届ける活動(Operation)は、AIエージェント前提でビジネスプロセスを再構築(BPR:Business Process Re-engineering)し、極限まで自動化すること(AIエージェントドリブンBPR)が可能です。
これにより、限られた人的リソースを価値を創る活動(Creation)や価値を伝える活動(Communication)といった高付加価値領域に再配分することで、組織全体の競争優位性を高めることができます。
AIエージェントドリブンBPRは、ビジネスアーキテクチャ設計ワークショップで行います。

BSCを設計する

次の順でBSCを設計します。

  1. 財務の視点のKPIを設定する
  2. 顧客の視点のKPIを設定する
  3. 内部プロセスの視点のKPIを設定する
  4. 学習と成長の視点のKPIを設定する

KPIを構造化する

BSCのKPIの因果関係を明確にします。
業務一覧のバリューチェーンに、内部プロセスの戦略目標、および、KPIと、学習と成長の人的資本目標、情報資本目標、組織資本目標、および、KPIを設定します。
詳細のイメージは、以下の記事を参考にしてください。
KPIの構造化

SoIを設計する

各KPIを様々な切り口で分析できるSoIを設計します。
エンタープライズワークショップのシステムの仕組の設計で作成するシステム台帳にSoIを追加します。