
本ワークショップでは、数回のセッションで、企業の業務とシステムの仕組(概要レベル)を設計します。
ワークショップの内容は次のようになります。
エンタープライズアーキテクチャについて理解する
エンタープライズアーキテクチャ(略してEA)は、企業の業務とシステムの設計図(青写真)です。
多くの企業が全体の設計図もなく、必要に応じてシステムを導入してきました。
その結果、業務とシステムがサイロ化し、ビジネス環境の激しい変化に対応できないカオスで雁字搦めの状態に陥っています。
変化が激しく、先行き不透明で予測困難な時代、企業の業務とシステムを変化に強い構造にすることは、企業にとって大変重要な課題です。
ここでは、
エンタープライズアーキテクチャの設計思想であるデザイン思考経営
エンタープライズアーキテクチャの根底にあるフレームワークであるビジネスストラクチャマトリクス
エンタープライズアーキテクチャの構成
について以下の順で学習していただきます。
事前学習
まず、事前に次の記事を読んでいただきます。
デザイン思考経営
ビジネスの仕組化
エンタープライズアーキテクチャ
講義
エンタープライズアーキテクチャのポイントと講義形式で学習します。
事業の仕組を設計する
まず、お客さまの事業の本質となる仕組を次の点で明確にします。
これらは、事業の仕組(ビジネスモデル)の最も基本的な構成要素になります。

業務の仕組を設計する
次に、お客さまの業務の本質となる仕組を次の点で明確にし、業務一覧としてまとめます。
次の図は、活動領域、ビジネスプロセス、ジョブ、バリューチェーンの関係を表したものです。

これを見ると次のことがわかります。
- 事業ドメインには、複数の活動領域がある。
- 活動領域には複数のビジネスプロセスがある。
- ビジネスプロセスには、ビジネスプロセスの本質的(不変的)な流れを表すアクティビティフローがある。
- アクティビティフローのアクティビティには、アクティビティの中身の流れを表すアクションフローがある。
- アクションを実行する主体がジョブである。
アクションは、ジョブのタスク(課業)に対応する。 - 事業ドメインには、ビジネスプロセスからなるマネジメントサイクルの流れで構成されるバリューチェーンがある。
システムの仕組を設計する
最後に、お客さまの企業のシステムの仕組をジョブ×種類×FEという観点でMECEに設計し、システム台帳としてまとめます。
- アプリケーションタイプ
アプリケーションの型。
概念レベルのアプリケーション。
上記業務の仕組のジョブ(職務)ごとにアプリケーションタイプを定義します。
これによって、ビジネスアーキテクチャとアプリケーションアーキテクチャが整合します。 - アプリケーションカテゴリ
アプリケーションタイプをアプリケーションの種類という観点で論理的に分類した単位。
論理レベルのアプリケーション。
アプリケーションの種類は次のようになります。- SoR(System of Record)
トランザクション処理アプリケーション。
社内の業務活動によって発生する事実を記録するためのシステム。
ここでは、さらに、マスターデータを管理するシステム、参照データを管理するシステム、トランザクションデータを管理するシステムに分けて管理します。 - SoI(System of Insight)
分析アプリケーション。
主に様々な切り口でKPIを分析することで財務、顧客、業務、資産に関する洞察を得るためのシステム。 - SoE(System of Engagement)
変革アプリケーション。
顧客や従業員、パートナーにサービスを提供することで良好な顧客関係を構築するためのシステム。
- SoR(System of Record)
- アプリケーション
IT基盤にデプロイするアプリケーションの単位。
物理レベルのアプリケーション。
UI/UXを担うフロントエンドアプリケーションと、ビジネスロジックとデータ管理を担うバックエンドアプリケーションに分割します。
マイクロサービスは、バックエンドアプリケーションの一種になります。 - アプリケーションが管理するデータ
アプリケーションが主管として管理するデータを明確にします。
このデータを構造化したものがデータアーキテクチャの業務概念データモデルになります。
